今日は「ケシパールとは?」というお話をしてみますね。
ロゼ・リュネールのジュエリーで使っているアコヤケシパールは、アコヤ真珠の養殖の際に副産物として貝の中に自然にできる無核の真珠です。
アコヤ貝は小さいので、ケシパールも小粒のものが多いです。
ケシパールのKESHIは芥子で、もともとはアコヤ真珠の無核真珠が、芥子の実みたいに小さかったので、その名前になったそうです。あんぱんの上にのってる「ケシの実」を想像してみてください。
ケシの実を辞書で調べると「seed 」なので、アンティークの小さな真珠のことは「シードパール」と呼びます。アンティークのシードパールジュエリーはとても美しいです。ミキモト博物館に素晴らしいコレクションがあったので、機会あれば見てみてくださいね。
シードパールというと、天然真珠のイメージがありますが、天然真珠と養殖ケシパールは違う物になります。
天然真珠は貝も天然で、自然に貝の中にできる真珠なので、大変珍しくて貴重なものです。
養殖真珠が発明される前は、天然真珠しかなかったので、限られた王族や貴族しかもてないような宝石でした。今も天然真珠は採れるようですが、とっても貴重だそうです。
その一方で、養殖アコヤ真珠を作るときの副産物として、貝の中の異物に真珠袋が形成され、その中に真珠層が巻いた小さな真珠を丁寧に集めたものがアコヤケシ養殖真珠です。
貝が養殖なので、天然真珠の貴重さや過程は違いますが、構造としては、天然真珠のケシも、養殖ケシも同様のものになります。
普通に養殖のアコヤ真珠は「アコヤ真珠」と呼ぶのに、わざわざ「ケシ養殖真珠」と呼ぶのには、天然真珠との区別をはっきりさせるためのものだそうです。
天然真珠にはケシパールも存在しますが、ケシパール=天然真珠ではないということです。
なんだか小難しく感じるかもしれないですよね。
元来はケシパールは2ミリ以下の小さなものを指していたようですが、白蝶真珠や黒蝶真珠の無核真珠のケシパールは大きな物もあるので、今は海産養殖真珠の副産物としての無核真珠をケシ養殖真珠と呼ぶと本に書いてありました。(参照 真珠検定のパールバッグ、真珠スタンダード2014)
ちなみに、淡水真珠にはもともと核がないものが多く、ピースのみをいれて養殖するのが主流なので、淡水真珠のことはケシとは呼ばないそうです。(最近は淡水真珠も核の入っている物もあるそうですが、、、)
名称に関しては、技術の進歩や定義は時代や国、団体によって異なってくるので、また変化や訂正する部分はあるかもしれないです。
名称の定義は難しいかもしれませんが、アコヤケシパールの魅力は、砂粒みたいに小さな真珠も丁寧に集めて、穴を開けて加工してジュエリーになっている繊細さと、全てが真珠層なので小さくてもテリがあるものが多いことです。そして、自然が作り出した歪な形がなんとも愛らしいです。小さな粒々が集まってるとそれだけで愛おしいですよね。
特にアコヤケシパールは、小さくてもアコヤ貝のもつ干渉色の美しい輝きを見ることができものが多いのも魅力です。
アコヤ貝や真珠の養殖は、養殖家の方達の手間と愛情が注がれているので、副産物のケシパールも捨ててしまわないで、ちゃんと集めて手間暇をかけて、美しいジュエリーになっていることが素敵ですね。
白蝶真珠や黒蝶真珠のケシパールは、また違った魅力があるので、それはまた今度。