PAGE TOP

Story

ロゼ・リュネールのはじまり

はじめまして。

ロゼ・リュネールの企画デザイナーの太田亜紀子です。
ロゼ・リュネールが誕生して、1年半。
ご縁が重なって、2022年7月7日に、代官山に路面店がオープンすることなりました。
ウェブサイトもリニューアルすることになり、こちらの「ストーリー」では、ジュエリーや作品の背景にあるお話をしたいとおもいます。

2020年夏、ロゼ・リュネールは誕生しました。

2001年から神戸でアンティークショップ「デコパージュ」を営んできた私は年に数回は欧米、北欧に買い付けに行き、アンティークジュエリーやビンテージジュエリーをセレクトして、神戸や東京のフェアでお客様に紹介してきました。

2020年1月、ヨーロッパと北欧への買付旅行に行った後、Covid-19 、コロナが世界中に広がり、春には緊急事態宣言。私だけでなく、世界中の人たちが経験したことのない状況になりました。
次にいつ買い付けに行けるのかも分からず、出店していたフェアもキャンセルが続き、途方に暮れました。

初夏、お店でCO-さんのベツレヘムパール(マザーオブパールに細工をほどこしたベツレヘムの伝統工芸品)のフェアをすることになり、ベツレヘムパールに合う真珠を探して、以前からお付き合いのある神戸の真珠卸屋さんに相談しました。

神戸は真珠の街と言われていて、世界の7割の真珠が神戸に集まり、加工され、日本中や世界に旅立ちます。

私のお店がある通りも「パールストリート」と言って、真珠加工業者さんが並ぶ通りにあります。(神戸の真珠の歴史はまたの機会に)

その真珠卸屋さんの女性は長年アンティークジュエリーが好きで、お店にもよく来てくれる方でした。

小さな真珠を探していることを告げると、アンティーク好きな私がきっと好きだろう、一掴みの白く光る束を会社の倉庫から持ってきてくれました。

それは、アンティークのシードパールジュエリーで見るような、1ミリにも満たないようなケシパールたちに穴があいていて、細い糸で束になっているのでした。

その細い糸は真珠をまとめるためのもので、そこからジュエリー用に糸を通さないといけないのですが、穴が小さすぎて既存の針と糸では連組できなかったそうです。

何十年も真珠屋さんの倉庫で眠ってた、いわばデッドストックのケシパールでした。

真珠屋さんもコロナ禍で出店催事などがなくなり、倉庫の整理をしていたら出てきたようです。

こんなに小さなケシパールは何十年も出会ったことがない貴重なもの、と真珠卸屋さんの社長がおっしゃってほどです。

最初はワイヤーでネックレスにしてもらっていました。

柔らかい馬の毛で組まれたアンティークのシードパールのネックレスのしっとりとした美しいしなやかなイメージとは違い、出来上がったワイヤーのネックレスは張りがあって、ビーズのような感じになってしまいました。

さらに、着用していると、すぐにワイヤーが伸びてきてしまうトラブルが発生。こんなに素敵で貴重なケシパールですが、着用の耐久性がなければジュエリーとしては失格です。

どうにかして、糸でしなやかで身体にそうようなケシパールのネックレスは作れないものか、、、と真珠屋さんの女性に相談して、しばらくの経ったとき、細くて強度のある特殊な糸を1ミリにも満たないケシパールに通す方法を彼女が探し出してくれました。

そして、繊細でしなやかでありながら、強度と実用性のあるケシパールのネックレスが誕生しました。

さらに、等間隔で大きめのケシパールを入れて、強弱をつけるデザインを提案すると、1本でも美しいネックレス「星の小径」が誕生したのでした。

先行きが分からなくて、暗い夜のようだったコロナ禍のはじまりでしたが、そんな中だからこそ、真珠屋さんの倉庫から出てきたケシパールや、時間をかけて工夫して生まれた「星の小径」のネックレス。

それが、ロゼ・リュネール、フランス語で「月の露」のはじまりです。

大気中の水蒸気が冷えて、物の面に水滴になる「露」。

ロゼ・リュネール「月の露」は、夜だからこそ、輝く月星のようなジュエリーを作りたいと願って、デコパージュの20周年を機に、誕生したジュエリーブランドです。

古代の人は真珠は月の露から生まれると考えていました。

古代ローマの博物者プリニウスによると「月の明るい夜に貝が水面近くまで上がって来て、貝殻を少し開けているところに露が貝の体内に落ちて真珠になる」と書かれています。

お天気によって、真珠の色が変わると信じていたそうです。

ロゼ・リュネールも、偶然の出会いやご縁から導かれる様々な「色」のジュエリーを作り出していきたいと思っています。